明治開化絵の特徴のひとつは、文明開化によってもたらされた西洋文化と江戸時代から続く伝統文化が入り乱れ融合していく姿を描いた点です。浅草寺の門前町であり、新吉原の遊郭に行く江戸最大の盛り場であった浅草は、明治に入ってからも信仰と歓楽の街として栄えました。右側には、奈良時代創建の浅草寺観音堂、左側には「浅草十二階」の名で人気を博したモダンな高層建築・凌雲閣という新旧文化を象徴する建物が描かれています。全面に用いられた鮮烈な「赤」は明治に入って安く輸入されるようになった外国製の化学染料(アニリン染料)で、多くの開化絵に使われました。「赤」は新しい時代「明治」を表す色なのです。