江戸時代、「天下の台所」と称された大阪では、人々の日常の際に供される、独特の野菜が多数ありました。ところが、農地の宅地化や食生活の洋風化が進む中、伝統的な品種が消えていきました。近年、このような伝統ある野菜を見直そうという機運が高まり、大阪府の肝入りで、「なにわ伝統野菜」の発掘と復活に取り組む生産者が増加しています。2019年現在、大阪府が認証している「なにわ伝統野菜」は18品目あります。
伝統野菜は京野菜が有名ですが、京野菜が宮様に献上するため、美しく上品な味と姿が尊ばれたとすれば、大阪の伝統野菜は、庶民がひたすら旨いものを求めたので、姿は無骨で味が濃いのが特長です。例えば、玉造黒門越瓜(たまつくりくろもんしろうり)は果長約30㎝と長大。勝間南瓜(こつまなんきん)は、小ぶりですがゴツゴツしており、実は粘っこくねっとりしています。守口大根は細長く、何と180㎝以上になることも。毛馬胡瓜(けまきゅうり)は歯応えがあり、苦みが強いのが特長です。ほかに、金時人参、大阪しろな、天王寺蕪、田辺大根、芽紫蘇、服部越瓜、鳥飼茄子、三島独活、吹田慈姑(くわい)、泉州黄玉葱、高山真菜、高山牛蒡、碓井豌豆(うすいえんどう)、難波葱などがあります。
大阪の料理屋や漬物屋では、季節毎に、旬のなにわ伝統野菜を使った料理や商品を提供しています。