大阪では、食べ物に“お”という敬称を付けることがよくあります。“食い倒れの町”と称される大阪では食べ物を大切にしてきたのです。うどんのことも“おうどん”と呼ばれます。大阪のおうどんは、軟らかい口当たりの麵と、それに優しく寄り添う昆布とカツオ節のだしとのハーモニーが魅力です。そして、明治時代に大阪・船場で生まれた、“きつね”と呼ぶ、甘辛くふっくらと煮た揚げとの三位一体の味わいは、不滅の定番人気メニューです。シンプルなだけに誤魔化しが効かず、安価なだけに庶民の厳しい評価にさらされて、各店が凌ぎを削ってきました。