明治6年(1873)にオーストリアで開催されたウィーン万国博覧会への参加準備の一環として、国が全国の府県に命じた物産調査が現存しています。「近江国甲賀郡水口村出産藤細工明細書」は『滋賀県管下近江国六郡物産図説』と『細工物略説』に所収された物産に関する調査報告がそれです。ウィーン万博は明治政府になって初めて正式に参加した博覧会であり、西洋の模倣でしかない機械製品ではなく、国を挙げて日本的で精巧な美術工芸品を中心に出展しました。博覧会の事務局は水口細工を優良工芸品に認定。博覧会では有巧賞牌を授与され評判を呼びました。