江戸時代以前から、絹は中国から輸入される高級織物で、国内でも古くから養蚕、製糸、織物が行われた。江戸時代になると、全国規模での商品生産が行われるようになり、日本各地で特産品が作られるようになった。その状況の中で、養蚕技術も著しく進み、江戸時代を通じて100冊を超える様々な技術書が出版された。本書もそのひとつであり、上巻は養蚕の起源・名義・蚕種・栽桑、上蔟、繰糸など養蚕の実際を、下巻では真綿の製法や木綿にまで及ぶ。著者の神垣守邦は但馬で養蚕業を営み、各地の養蚕技術を取り入れて改良に努めた。本書はその養蚕技術の集大成的なものである。