ソーニア クニップスの肖像

ソーニア クニップスの肖像は、クリムトが新しいアールヌーボー スタイルで描いた最初の傑作です。1898 年の 11～12 月に開催された第 2 回ウィーン分離派展で、初めて一般公開されました。

この作品の最も画期的な点は、パステル画のように輪郭があいまいになる、柔らかく繊細なタッチで描かれているところです。それが、この絵の神秘的で幻想的な雰囲気を作り出しています。

もう 1 つの画期的な点は、キャンバスが正方形であることです。正方形のキャンバスは、肖像画の構図にバランスと静寂をもたらしています。

ソーニア クニップスは肘掛け椅子に腰かけて、上体をわずかに前に向けています。

左手で肘掛けをつかんでいて、今にも立ち上がりそうです。

ソーニアは、絵を見る人の目を真っすぐに見つめています。彼女の視線は、その瞳に描き込まれたハイライトによって特に強調され、魅惑的な雰囲気を醸し出しています。

クリムトは、モデルが着ている美しいシルクのドレスを絵で再現するために細心の注意を払い、細い線を何本も並べて描く方法を用いています。

1898 年に、美術評論家のルートヴィヒ ヘヴェジィがこの作品について次のような言葉で高く評価しています。「椅子に腰かける若い婦人の桃色のドレスは精密な筆づかいで見事に表現されている。この新しい手法を意図的に用いた、クリムトの最初の肖像画である。」

ソーニア クニップスの頭上には、画面の上端にまで届く何本かの美しいユリの花があります。クリムトはこの花々も非常に緻密に描きました。これらの花を除いて、肖像画の背景は全体的に暗く、他に特徴的なものはありません。

ソーニア クニップスが右手に持っている、赤い革で装丁された小さな手帳は、クリムトの絵が描かれているスケッチブックです。