『ディアナとニンフたち』

ディアナとニンフたちMauritshuis

フェルメールは静かな室内画を描く画家として知られていますが、キャリアの初期の頃には『ディアナとニンフたち』といった聖書や神話の一場面を大きなサイズで描いた作品がいくつかあります。この絵は、フェルメールの最も初期の作品の 1 つです。ここに登場するディアナは、月と狩猟の女神であるだけでなく、貞操の規範を示す象徴でもありました。オランダの黄金時代の画家が数多く描いた神話の主題として、さまざまな役割を果たしています。フェルメールは、ディアナに関する特定の伝説の場面ではなく、自然の中で狩猟後に休憩している彼女の様子をニンフとともに描き出しています。

女神ディアナ
月と狩猟の女神である貞淑なディアナは、この絵の主役を担っています。三日月形の髪飾りを付けている女性がディアナで…

…側には小さな猟犬が描かれています。

女性の同伴者たち
ディアナには 4 人の若い女性、処女のニンフが従っています。そのうちの 1 人はひざまずいてディアナの足を洗っています。

ディアナとニンフたち ディアナとニンフたち(1653~1654 年頃) - 作者: Johanes VermeerMauritshuis

ニンフは大部分が影になっていますが、手前にある銅の皿は光の中で輝いています。

ディアナとニンフたちMauritshuis

愛の薬草
ディアナの座る石の前には、アザミが生えています。アザミは伝統的に、欲望をかき立てる「愛の薬草」と考えられていました。この植物は肉欲の誘惑を象徴しているのかもしれませんが、貞節の象徴ディアナとお供のニンフはそれに耐えなければなりません。

妖精カリスト
妖精カリストは、ゼウスの子を妊娠して誓約を破りました。そのためディアナは、罰として彼女を熊の姿に変身させたのです。奥に描かれている女性がカリストである可能性もあります。

ディアナとニンフたち ディアナとニンフたち(1653~1654 年頃) - 作者: Johanes VermeerMauritshuis

腹部の辺りを押さえて握りしめた手は、彼女の妊娠を暗示しているのかもしれません。しかし、そのことを確認できる証拠は見当たりません。

ディアナとニンフたちMauritshuis

偽の署名
『ディアナとニンフたち』が 1876 年にマウリッツハイスによって購入された際、この絵はレンブラントに師事していたニコラース マースの作品であるとされていました。しかし、1885 年にニコラース マースのイニシャル「NM」が偽造されたものであることがわかったのです。元の署名「J VMeer」は、その下に隠されていました。以降この絵は、当時まだほとんど無名だったヨハネス フェルメールの作品であると認められるようになりました。

暗い空
キャンバスの右上の隅にあったのは、長い間青い空でした。修復作業が行われた際に、空を描くために使用されていた絵の具には、フェルメールの時代にはまだ入手できなかった顔料が含まれることが判明しました。そして、青色の層の下からは元の濃い色の絵の具が現れましたが、これは復元できませんでした。担当した修復師は、暗い茶色の絵の具を薄く塗って青い空を覆い、フェルメールの意図に沿った絵を再現することに決めたのです。

元のサイズ
この絵は、かつては今よりも大きいサイズだったようです。技術的検証によって、キャンバスの右側が 12 cm ほどなくなっていることが明らかになりました。いつしかこの部分は切り取られてしまったのでしょう。

静けさ
ディアナとニンフたちの作品は、フェルメールの有名な内装の描かれ方、主題、大きな人物、広い筆跡、暖かい色に関して、対照的に描かれています。しかし、拘束された静かな雰囲気の絵は、彼の晩年の作品においては重要な役割を果たしています。

提供: ストーリー

この展示は、Google フェルメール プロジェクトの一環です。

提供: 全展示アイテム
ストーリーによっては独立した第三者が作成した場合があり、必ずしも下記のコンテンツ提供機関の見解を表すものではありません。
もっと見る
関連するテーマ
フェルメールとの出会い
フェルメールの全作品:7か国に広がる18美術館からの36の絵画
テーマを見る
ホーム
発見
プレイ
現在地周辺
お気に入り