EDITORIAL FEATURE

自然から生まれた工芸

  

古来日本の工芸は、生活を支える道具として、そして、日常を彩る装飾として、日本人の大
切な文化の一部として発達し、広がってきました。

多様な植物が自生する森。金・銀・銅や貴石を豊富に含んだ山。貝や珊瑚などの海からの恵
み。一年を通じて湿潤な気候が生む豊富な水は、工芸の重要な材料として、また、工芸を船
で運搬するための川と海の源でもありました。

現代まで続く工芸の多くが生まれたのは江戸時代(1603-1868)のことです。当時の日本はおよそ250~300くらいの大名がそれぞれの領地を経営していました。18世紀から19世紀の初頭になると、財政難の地域が増え、その解決策として地場産業の振興がはじまります。それぞれの地域が持つ自然の特色を生かした製品がつくられはじめたのです。

鳥取県「鳥取民藝 《初夏の渓流》」 - 江府町

美しい水

紙を漉く、布を染め洗う、土を柔らかくする。どんな工芸にも豊富な水は欠かすことのできない存在です。そしてこの水が、多様な植物を育てます。それを編み、織り、削ることで、様々な製品が生まれるのです。やわらかな素材を編めば布に、硬い素材を編めば籠や箱に。もちろん、木は彫刻や家具の材料になります。地域の気候に適した植物を使うことが、日本の工芸の独自性を際立たせます。

京都女子大学 生活デザイン研究所「越前和紙《「奉書」の抄造風景》」

漆の艶

紀元前の遺跡からも発掘される漆。漆の木を傷つけて採集される液は、すぐれた塗装剤・接着剤として、はるか昔から生活のあらゆる場所で使われていました。乾燥するのではなく湿気と反応して硬くなる漆。その艶のある質感は地域や素材を問わず、多くの工芸品の仕上げに利用されています。

京都女子大学 生活デザイン研究所「南木曽ろくろ細工《拭き漆》」

土と火

日本は世界有数の陶磁器生産国です。地面から採掘される粘土や陶石は、鉄や銅といった金属が含まれた顔料で様々な文様を絵付けされ、火の中で完成します。

京都女子大学 生活デザイン研究所「有田焼 《色絵雪花墨色墨はじき草花更紗文鉢》」14代今泉今右衛門

金属の宝庫

日本はかつて世界有数の金・銀・銅の産出国でした。川でとれる砂鉄を使い、硬度が高く錆に強い鉄を作る国でもありました。その技術は今も、窯や鉄瓶、刃物などの製造に受け継がれています。

京都伝統産業ふれあい館「截金《裁断作業》」

さらなる日本の伝統工芸の世界をこちらからお楽しみください。

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