「大明嘉靖年製」の青花銘をもつ本品は、青花(染付)で藻草や裾部の蓮弁文帯を線描きし、赤・黄・緑・黒などの色釉で上絵付けした華やかな作で、五彩のうち特に目を引くオレンジは、赤の下に黄を置いた黄地紅彩の手法で焼いたものです。魚に水草をあしらった蓮池魚藻文の図柄は、元から明にかけての美術の分野で広く好まれた主題です。元時代には青花による大型作品が好んで作られ、明時代になると本作のように青花を下地として数種の色釉で上絵付けした五彩がおおいに流行しました。本壺は回青と呼ばれる嘉靖期独特のイスラム産のコバルト顔料を用いているので、青花の色は紫がかった明度の高い発色を 呈しています。配色や発色、文様の構成など、いずれをとっても嘉靖五彩の典型作といえる名品です。