ガス爆発
明治丗二年頃は「ガスケ」とヤマ人は言うていた。
ガスに関する智識の乏しい当時の坑夫は カンテラで入坑するや、切羽に篭りしメタンガスにやられていた。
単丁切羽の事で先山だけ、この災禍にかかっていた。
ガスケは天井ぎわに多く盤ぎわは爆発しても十五㌢位火焔がないと云う(一度ハレツすると再び火が戻るらしい)
これは安全灯になっても時々発生し 災禍は絶えなかった
外傷より内臓に吸い込みし人は 大かた命をとられていた。
ガスの検定など誰も知らない頃であり、犠牲者は多かったのである。
キリハ(切羽)ガスでもハレツと共に爆風は 坑内全域を揺がしカンテラの火を消した。