明治 ヤマを訪ずれし 行商人
いずこの島の婦人か、海辺に住むおカミさんか一見強そうな女でもあった。太いデッカイ笊ザルを頭にのせて終日歩行の昆布売り、ザルは下部 角で径七〇センチ、位上は丸で少し細がた、高さ四〇センチ位、三〇キロ以上おもさも(ツメコム)あると云う それにしても頚骨の強さにはヤマの人だちも驚いていたようであった。
一人は地方のオッサンがこれもデッカイ胡椒コショーの貼ボテを腰にさげ 肩から釣りかた手に鈴を振り鳴し トントントントン トンガラシの粉、甘いも辛いもお手(サジ)加減んー、ジィさん舐(ナメ)たらババさんホロリとするわいなー
ヤマの子供もこのトン芥子(カラシ)はソッポであった。 昆布は噛るものもおった。トドロコンブなど