明治三十年頃唐津の炭坑で、真剣勝負があった。剣道はどちらも(シダン)ずぶの素人であったと云う。 チヤン チヤン バラリンはできず、二人共正眼の構へて数分間すごしたが 一方が対手に刀を投げつけた。 無手になった一人は忽ち斬り殺されたと云う。 体をかわして斬った一人は監獄に。数年後出獄し(真剣)と異名の金箔がついたと言う。
命を泡の如く思うておるヤマの人達も二人で正式に斬合う事は珍らしい。
喧嘩となると寒中でも裸になるのがヤマ人の癖 それは男のレッテル靑刺みをいかすためであった よってイレズミは入浴のときとケンカのときが見ものである。