明治のヤマ人
喧嘩の仲裁キッタ、ハッタ、の多いヤマ人も騒いだあげく仲直りはある、勿論ヤマのカオヤクが中にいって和睦となるわけで それには形式があった、仲裁人が正面に坐して本人を両方に坐らすと盃を両手に持ち、左右を 交差にして一緒にさす、それを返パイし二回目は腕を上下にとり替えて両方にさす、そうして仲人の 挨拶がある、今度はオレにまかせてくれて誠に忝けねー、万事水に流して以後水魚の交わりをしてくれーっ□すみません、はしたない私の無分別から △いやオレの誤解から心配かけます、 講和成立仲人は納盃してヨイ、ヨイ、ヨイと音頭をとり一同拍手三回、その后用意の半紙に塩を包み箸二本添へ水に濡して天井に投げつける それが天井(屋根ウラ)にくっついて散会、(チャップ合には あり合わせのイリコ、又は一ヶ二銭のスボチクワなど、酒は冷酒、店で燗せれど永くなるからつけぬ)
此の場合多く語らず大酒せず永座せずソコゝにきりあげ 同席者も無駄口はたたかない、注 一方に傷つけた時には膏薬代と云う名目で相当の金包を賜る。