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稽古

白滝幾之助1897

東京藝術大学大学美術館

東京藝術大学大学美術館
台東区, 日本

下町風情漂う稽古場の情景である。すだれ越しの明るい日射しは、室内の光景を爽やかに映し出している。作者24歳の時の卒業制作品。

 第2回白馬会展の会場でこの絵を見た鏑木清方は「明治のその頃、ちょっとした行きずりにも袖を交わす、どこの巷にも見られた実在感に触れたのが嬉しかった」と語っている。こうした明治期の身近な下町風情を捉えた画風は、清方に限らず同時代人の多くの共感をよんだ。夏の明るい光が室内に溢れる逆光描写のなかに、人物の配置、視点、表情そして小道具が相関し合い構成されている。特に表情には何かを語りかける師匠の口許や、眉をひそめて唄う少女の顔に、各々の感情が読み取れそうな実在感がこもる。山本芳翠の画塾生巧館で学んでいた白瀧幾之助は、同校が黒田清輝と久米桂一郎に依託されて天真道場になると、以後は黒田に師事した。さらに明治29年(1896)にはそれまでの絵画修業が認められ、本学西洋画科3年次に入学する。本作はその在学中に描かれた卒業制作品である。屋内外を逆光の関係で捉え、画面に効果的に生かす手法には黒田の影響が感じられる。(執筆者:左近充直美 出典:『芸大美術館所蔵名品展』、東京藝術大学大学美術館、1999年)

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