要文化財 1925年(大正14)に安来市の考古学愛好家が、横穴墓から発掘したものです。柄頭には、2匹の龍が向かい合って玉を喰む造形がみられます。鞘は鞘木がよく残っており、唐草文や円形の文様を打ち出した金銅板で包んでいます。この大刀は、金銅装双龍環頭大刀と呼ばれる古墳時代の大刀の中でも、まれに見る良好な保存状態を保っています。まず、大刀外装の金銅板がほぼ完存し、本体の鞘木、柄木の大半が腐らずに原形を留めています。刀身は反りのない直刀で、昭和30年代に日本刀の研ぎ師により研がれ、古代の輝きを取り戻しています。大正時代の発見時には、鞘から刀身をひき抜くことができたといいます。奇跡的な保存状態の理由は、さまざまな好条件が重なった結果だと考えられますが、床に直に置かれず、土器の上に載せられた状態であったことが好条件の一つであったという意見もあります。 環頭の双龍は、極度に簡略化されており、双龍環頭大刀の中でも末期の作と考えられ、7世紀初頭に製作されたものとみられます。