瀬戸焼は愛知県瀬戸市周辺で生産される陶磁器で、日本六古窯の一つ。平安時代の須恵器・灰釉陶器の系譜に連なるが、鎌倉時代に宋(現在の中国)から施釉陶器の技術が伝えられたのを起源とするともいわれる。はじめ中国磁器を模倣したものが多く造られたが、室町時代には椀や鉢などの日用雑器が多くつくられた。桃山時代には、黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部などの茶器の生産を特徴とした。肩に四つの耳の付いた四耳壺は、鎌倉時代から室町時代にかけて多数製作された。この壺は、細身の立ち姿に広めの口の付く端正な作りで、たっぷりとかけられた灰釉の暗い緑黄色が、その姿に深みを与えている。