尾形乾山は、京焼の大家・野々村仁清に作陶を学び、元禄12(1699)年に乾山窯を開きました。兄・尾形光琳の協力も得て、陶芸に絵画の世界を融合させた陶画や、華やかな食器類を制作して好評を博しました。70才になろうとする頃、養子に窯を譲り、江戸で本格的に絵画を描き始めます。この「花籠図」は、乾山の絵画における代表作です。露をたたえた秋草を投げ入れた、三様の佇まいをみせる花籠が描かれています。三条西実隆の「花といへば 千種ながらに あだならぬ 色香にうつる 野辺の露かな」という歌賛にふさわしく、秋の野の華やかながらも侘びた世界を表現しています。