仏教寺院には、仏像などの礼拝の対象を納める建物の「堂」が建てられる。古代の日本で仏教の堂をミニチュアの素焼きの焼き物で作ったものを、現在の日本考古学では「瓦堂」(がどう)と呼んでいる。当時の人々が、本物の堂の代りに信仰の対象にしたものである。この瓦堂は埼玉県児玉郡美里町の東山遺跡(ひがしやまいせき)から出土したもので、平安時代(9世紀)のものと考えられている。仏教で釈迦の骨や代わりの宝物を納めた塔のミニチュアの焼き物「瓦塔」は、各地で発見されているが、瓦堂はめずらしい。この瓦堂は瓦塔とともに発掘されたもので、双方で信仰の対象にされていたと思われる。国指定重要文化財。