プリンセス・スタイルのドレス。オーガンジーに植物模様の3種類のバランシエンヌ・レースがはめ込まれている。使用されたレースは約50mにも及ぶ。
プリンセス・ドレスは、後にイギリス王妃となるアレクサンドラが好んで着用したことに因んでいる。ウエストに切り替えがなく、縦の切り替え線のみを使ってウエストをフィットさせ、バストやヒップを強調するカッティングで、1880年前後に流行した。ジャン・ベローは《夜会》(1878年頃、オルセー美術館蔵)でこうしたドレスを描いている。一時的な流行であったが、19世紀に現れたボディ・コンシャスといえるだろう。