スポーティーでカジュアルなデザインを得意とするマッカーデルの才能が十分に発揮されている。襟・肩周りのシャープで洗練されたラインとダイアパーシルエットのボトム部分がなんとも独創的。ウール・ジャージーという素材を選択し、ボーンやウエストニッパーを使用する当時流行の仕様をあえて採用していない。体を拘束することなく、デザインによる視覚的効果によって女性の体の美しいラインが強調され、シンプルな中にエレガンスが満ちている。小型のメタル・フックはマッカーデルのトレードマークともいえるディテール。経済的発展をとげるアメリカにおいて、時代の要求をくみ取り、ファッションの民主化を推し進めたマッカーデルの精神が、見事に具現化された作品である。