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金銅五鈷鈴

不明11-12th Century

京都国立博物館

京都国立博物館
京都市, 日本

金銅製の五鈷鈴。把部(つかぶ)中央の鬼目(きもく)部分を上下8面の切子形(きりこがた)とする特異な形状を示す。
 弘法大師空海が大同元年(806)の帰国に際し上表した『御請来目録』には、多数の経典・曼荼羅・祖師像・儀軌(ぎき)と共に、鋳博士・揚忠信と趙呉二名の手による密教法具の存在が記されている。この空海請来の法具の一部と考えられるのが京都・東寺に伝わる五鈷杵・五鈷鈴・金剛盤より成る組法具であり、現在においても後七日御修法(ごしちにちのみしほ)に用いられる秘宝中の秘宝である。これら空海請来の法具をモデルとして、後世に製作された密教法具を「空海(弘法大師)請来様法具」と呼ぶ。
 空海請来組法具の五鈷杵は本品と同じ切子形鬼目を持つため、本品が空海請来組法具から何らかの影響を受けていることは確実ではあるが、一方で、空海請来組法具の五鈷鈴は鬼目を大振りの円形二重瞼(えんけいにじゅうけん)としている点や、脇鈷(わきこ)に雲形の突起をもうけていない点などで本品とはいささか形状を異にする。中国国内においても、切子形鬼目を持った五鈷杵の発見例はあるが、切子形鬼目の五鈷鈴についてはいまだ報告されていない。そのため、本品のような形状の五鈷鈴が空海請来組法具の五鈷杵から着想を得て日本で創作されたものなのか、または空海が請来した法具の中に本品と同様の切子形鬼目をした五鈷鈴が存在していたのかを考える上で非常に重要な作品であると言える。

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