第二帝政時代(1852-70)に流行した大判のカシミア・ショール。クリノリンが次第に巨大になっていくとコート代わりとしてショールの身に着け方が女性の上品さを示す指標にもなった。アルフレッド・ステヴァンスの《私と一緒に出かける、フィッド?》(1859年)やモネの《ゴディベール夫人》(1868年)にも描かれている。カシミア・ショールは後のバッスル・スタイルの時代にはヴィジットと呼ばれるコートの布地や室内着の素材となる。やがて調度品のカヴァーなど室内装飾に用いられるようになり、19世紀に西洋で一大産業として隆盛したこの産業は廃れていくことになる。