丹前風のほぼ直線の構成に、フードという西欧の要素が組み合わせられている。素材は、丹前の織物産地の工場で発見された古い織機によって新らに織られた。素材からデザインが始まるという創作姿勢を端的に示す、三宅の初期作品である。
三宅は1973年から参加したパリ・コレクションで、「刺子」(1973年)、「鬼楊柳」(1974年)、「しじら織り」(1975年)など、当時の日本でも置き去りにされかかっていた伝統的な日本の素材に光を当て、それを日常着の機能的な美しさの中に生き返らせようとした。日本の繊維産業に立脚した新しい服作りを行う三宅の創作姿勢は西欧でも高く評価され、後の日本人デザイナーたちにも多大な影響を与えた。