18世紀中期の男性服。コートはカフが大きく、ウエスト両脇から後ろ裾にかけてプリーツがたっぷりとたたまれている。ウエストコートは腰が隠れるほどの長さがある。また、コートには銀糸、ウエストコートには多色の絹糸や金糸を用いて華やかな織り柄が施されている。
近代以前の西洋において、王侯貴族の男性服は女性服に劣らず華美で豪奢であった。自らの特権的地位を誇示し、服装によって身分制度を維持しようとする思惑からである。
ブロケードの織機は自在に柄を作ることができる反面、経糸の動きを調節する通糸(つうじ)を操作する助手が必要で、製作に時間がかかった。紋織がより機械的に作られるようになるには、ジャカード織機の登場(1804年)を待たねばならない。