メディチ家紋章文コンポート
16世紀初 ヴェネチア
宙吹き、モール装飾、エナメル彩
エナメル彩でメディチ家の紋章と縁取りの点彩文様が絵付けされたコンポートである。モール型を使って縦稜線を吹き出し、右方向に回転しながら吹いたガラスを整えてゆくと、矢車状に稜線が出来上がる。これにラッパ状の高脚を付け、開口部を皿状に広げて完成させる。中央部の紋章は、ローマ教皇の三層宝冠を上部に配していることから、メディチ家出身の教皇レオ10世(1513-21)又はクレメンス7世(1523-34)のものと推定される。これと類似の作品が数点現存していることから、いずれかの教皇就任を記念して制作され、特定の人に配布された記念の高坏であったと推測される。なお、このコンポートは高脚部分が欠失している。