アーチ状の壁龕に据えられた古典趣味の盃形花瓶に多種多様な花が盛られ、下部には果物や、それをついばむ鳥が配されている。全体的印象はモニュメンタルで、質感の描写を含む西洋の自然主義的写実が達成されている。本図は享保11年(1726)6月に長崎に輸入されたオランダ製とおぼしき油彩画5点のうち1点を原画としている。油彩画は徳川吉宗がオランダ商館に注文したもので、享保13年以前に五百羅漢寺に吉宗によって下賜(された。原画は文政ごろまで同寺にあったが、その後、破却されたらしい。本図はその油彩画を谷文晁(1763~1841年)が模写したものとされていたが、実際は石川大浪・孟高の兄弟が寛政8年(1796)に同寺で模写した図の、さらなる模写ではないか、という説が近年、呈示されている。花瓶のステムに「W.Van Royen 1725」のサインが写され、原画の作者を示している。
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