熊野筆のなかでも特筆されるのは、大正時代から作られはじめ、近年国内外で人気を博している化粧筆です。他の国、産地で作られている化粧筆が、毛先を切って形を整えているのに対して、熊野の化粧筆は書道や絵画の筆と同様、根本で揃えて毛先をそのまま活かしているのが特徴です。これにより、肌触りが柔らかく、微妙なメイクの仕上がりが可能な、優れた化粧筆が生み出されます。現在では、ハリウッドのメイクアップアーティストらによって愛用されているほか、2011年8月のなでしこジャパンへの国民栄誉賞授与にあたって、記念品として採用されるなど、その名は年々高まっています。