19世紀中期を表象するクリノリン・スタイルを形づくった下着、クリノリン。1830年代から膨らみ始めたスカートのボリュームを出すためにペティコートが何枚も重ね着された。その不便さを解消するために40年代初期、麻布に馬の尾毛(crin)を緯糸に織り込んだペティコート、クリノリンが考案され、一枚で簡単にスカートを膨らませることができるようになる。50年代後半には、針金や鯨のひげなどの輪を水平に何本もつないだ新案特許のクリノリンが誕生する。さらに、鋼鉄製のクリノリンなど、新しい技術が投入され、軽くて脱ぎ着の容易なクリノリンが次々と開発され、スカートは急激に巨大化、60年代最大となる。本品の構造など、その後流行したバッスル・スタイルにも、この技術が受け継がれた。