はじめ画家を志したが、独学で学んだ語学力を活かし東京のアメリカ文化センターの催事企画部に勤務。廃品(スクラップ)に眼を向け、それらを組み合わせて彫刻を作る。スクラップとスカルプチャーを組み合わせ、“スクラプチュア”と名付けた。造形に言葉の遊びを加え、ユニークな世界を展開した。
この作品は、廃品の鉄板をうまく利用してシンバルを叩く音楽家を想定した形をつくり、それに自動車のバックミラーを取り付けて制作されたものです。木村直道がこの作品を制作した当時、トロンボーン奏者として有名なグレン・ミラーの生涯を描いた映画「グレン・ミラー物語」がヒットしていました。この作品の副題がグレン・ミラー楽団ならぬ《バックミラー楽団》と名付けられている理由です。木村らしいウィットに富んだネーミングで、バックミラーがシンバルのように見えてくるから不思議です。