絵画世界を歴史的・文学的主題から解放し、「写実主義(レアリスム)」を提唱したクールベは、本作において、「森の中で横たわる裸婦」という伝統的なテーマを扱いながら、リアリスティックな肉体表現と明暗のコントラストをもって格調高い作品に仕上げている。全体として牧歌的なムードを漂わせている点で、その初期裸婦作品群の雰囲気を残している。量感のたっぷりした眠れる女性の表象は、1862年の《横たわる裸婦》、1866年の《デスデモナの殺害》など、後の作品との類似性から原型として参照された可能性が高い。また「眠り」というテーマもクールベは好んで描いていた。