須恵器は古墳時代中期に朝鮮半島から伝来した焼成技術によって製作されるようになった青灰色硬質の土器である。西宮山古墳という前方後円墳の横穴式石室内から出土した。壺の肩の部分に4カ所小さな壺が付加されていて、その間には粘土で作られた小さな像を見ることができる。そのうち1カ所は欠落しているが残りは、「相撲を取る人物像」、「犬で鹿を追う狩猟の様子」、「何かの荷物を運ぶ人物像」という3つの情景である。表現は原始的で分かりにくいものもあるが、それを形として残そうとしたことは分かる。このような立体装飾をもつ須恵器は瀬戸内海の沿岸部に多く分布している。古墳時代の暮らしの様子を伝えてくれる貴重な遺物である。