オール・イン・ワンの裾が引き伸ばされたようなドレス。見えないものだった下着を活動的で開放的な現代女性の服として再生させ、1980年代のボディ・コンシャスなファッションを力強く牽引したゴルチエらしい作品である。
1976年にパリでデビューしたゴルチエは、簡素化するファッションの大きな流れの中で、ストリート・ファッションに現れた下着の表層化という現象を素早くとらえ、80年代初期からコルセット、ブラジャーなど、さまざまな下着を表着に変換した。歌手のマドンナはゴルチエの下着ファッションで女性性を殊更に強調し、良識に真っ向から対抗するように歌った。ゴルチエが先陣を切った下着の表着化は、90年代以降、大きな流行へと発展し、普遍化していった。