ラインストーンの刺繍により、勢いよく水の飛び出るシャワーがドレスの前面に描き出され、そのホースはさらに後ろに回り込んで、左袖に巻き付いている。1963年から84年までクロエのデザイナーを務めたカール・ラガーフェルドのユーモアに富んだ遊び心が窺える作品。
装飾的な柄をデザインするのではなく、服をキャンバスに見立てて自由に絵を描くような手法には、シュルレアリスム的な作風を得意としたエルザ・スキャパレリからの影響が窺われる。1980年代以降、ファッションとアートの境界を超えるような作品が増加したが、ここにもその方向性を見ることができるだろう。