竹と雀、鱗文のプリント地は日本の伝統的な文様。直線的な裁断によるシンプルなワンピース・ドレス。袖まで一続きのヨーク部は肩線無しの左右の身頃で構成されている。ハイウエストで切り替えられたスカート部は、前後2枚の長方形のパーツである。高田は1974年秋冬コレクションでビッグルックを提案し、本品もその延長線上にある。竹の主軸の直線を強調した文様をスカート部に配して、服のボリュームをすっきりと見せている。
「5月革命」の余波が残る70年代のパリは、自由が標榜されていた。それまでの着方のルールを踏襲しない、気取りのない、つまりカジュアルな着こなしが当時の流行だった。日本の着物、しかも普段着や野良着などの仕事着をフォークロア・ファッションの一つと捉え、そこから得た着想をパリ風の服にミックスさせた高田の作風は、まさにこの方向性に合致していた。