床に引きずる長い袖が特徴的なドレス。左のドレスの衿と袖、右のドレスの前後身頃に白い平ゴムが縫いとめられている。左では円形、右では格子状に縫われた平ゴムが、ベルベットに不規則的なシャーリングを作り出している。
東京藝術大学でビジュアル・デザインを専攻したひびのこづえは(1997年に内藤こづえから改名)、1988年からコスチューム・アーティストとして活動を始めた。野田秀樹の芝居をはじめ舞台、映画や広告媒体、個展を主な活動の場として独創的な服や帽子を創作。人為的なトレンド・システムに操作されることなく活動を続けている。本品は個展「寄生」(1995年)に出展された一点。「生命ある肉体に布と糸が寄生して生まれた」服は、視覚のみならず触角をも刺激する。