1960年代に「スウィンギング(いかした)・ロンドン」という言葉を流行させた若者文化の発信都市、ロンドンのデザイナーたちの作品である。懐古趣味的なビショップ・スリーブに見られるように、現実社会から逃れて過去や異国を想わせる服が、ロンドンを中心とした若者のストリート・ファッションで注目されていた。
右は「ビバ」(1963-76)のドレス。バーバラ・フラニッキの伝説的なブティック、ビバは、カジュアルで買い易い価格の服をデザインし、ロックをすさまじい音量で店内に流す若者向けブティックの先駆けであった。ロンドンの若者文化を体現する「ビバ」は、古着を着こなす若者たちの動きを先取りし、70年頃には懐古的な「レトロ・シック」なファッションを打ち出し、世界的に高い人気を得た。
左はシリア生まれのティア・ポーター。67年頃からロンドンで本格的に服のデザインを始め、中東、インドなどの、エスニックな素材や装飾を重視し、ヒッピー的な志向性のもとに作品を展開した。