二重になったストレッチ素材にパッドを内蔵したドレス。身体の線と服が一体化する「ボディ・ミーツ・ドレス ドレス・ミーツ・ボディ」コレクションの一点。
20世紀ファッションは、何よりも自然な身体の美しさを重視してきた。しかしそれは、一方で、衣服造形を制限することにもなった。川久保は、身体が服を縛る、服が身体を縛る、といった互いの発展を封じる停滞した関係からの脱出を試みて、本品に見られる新鮮な造形美を作り出し、世界に衝撃を呼んだ。舞踏家、マース・カニンガムはこれに刺激されてダンス『シナリオ』(1997年)を生んだ。
「すでに見たものでなく、すでに繰り返されたことでなく、新しく発見すること、前に向かっていること、自由で心躍ること。」(1997年春、コム・デ・ギャルソンのDM)川久保は新しい表現に挑み続け、常に時代の先端にいる。