ドレス全体に花鳥と蝶のモチーフが手描きされている。シノワズリーが流行したこの時代、平絹チャイナ・シルクに手描きした布が中国から輸入され、やがて西洋で模倣されるようになった。ポンパドゥール侯爵夫人は画家フランソワ=ユベール・ドルーエが描いた肖像画(Madame de Pompadour at her Tambour Frame, 1763-64、National Gallery, London)で、手描きのチャイナ・シルクのドレスを着装している。
宮廷以外での衣服の簡素化に伴って、1770年代に女性服は機能的な方向へと進んだ。本品に見られるようにドレスの背中の襞はウエストまで縫いとめられるようになり、ローブ・ア・ラングレーズと呼ばれた。