小さな肩、ビショップ・スリーブ、ミモレ丈などが1970年頃のファッションの傾向をよく表している。テキスタイルのデザインはポップでエネルギッシュである。描かれているのは、渦巻く波と雲を背景に浮遊する翼竜とマリリン・モンロー。アメリカ人の写真家トム・ケリーが49年に撮影したモンローの有名なヌード写真からモチーフを得、天使を想わせる羽が描き加えられた。
本品は夭折したジミ・ヘンドリックスとジャニス・ジョプリンをモチーフに、日本の刺青に擬えた「タトゥー」ドレス(1971年)の続編として発表された。プリントのデザインは、石岡瑛子と皆川魔鬼子による。後にアート・ディレクター、舞台衣装のデザイナーとして世界に知られる石岡は、70年8月から数か月間、三宅のためにテキスタイル・デザインに携わった。皆川も70年から三宅の仕事に参画し、71年からはイッセイ・ミヤケのテキスタイル・ディレクターを務めることになる。彼らは日本から新しいファッションを世界に発信しようとする三宅のために、そのテキスタイル・デザインに若々しい力を注いだ