オランダ商館長カピタンに日傘をさしかけるジャワ人と思われる従者(くろぼう)、ゴブレットとフラスコボトルが乗った盆をささげ持つ下級船員(またろす)を配する木版画。本図は、長崎版画の中でも最初期に位置する版元「針屋」から出版された。長崎桜町にあった針屋は、長崎の大音寺の過去帳に「宝暦四閏二月二十日桜町針屋与兵衛」と記されていることから、1754年以前から開業していたことがわかる。長崎の異国情趣豊かな風俗、文物を題材にした長崎版画は、幕末まで多くの版元から出版され、みやげ絵として、長崎を訪れる人々に売りさばかれた。