筆者の諸葛監(しょかつかん)(1717~90)は、江戸の人。長崎へ行くことなく、独学で南蘋風を学んだ絵師。裕福な家に生まれたが、家産を破るほど古画を集め制作に熱中したと伝えられている。中国画に忠実なあまり、独自性が見られないなどと酷評されるほど、その実際の作品は日本人離れした神経質と粘着質に満ちている。それでも本図は、全体の色彩構成や構図に抑制が効いていて、その執拗な描写が良い意味で際立っている。宋紫石に先立つ、江戸南蘋風花鳥画の優品として貴重。款記は「乙酉孟冬湖南諸葛監写」、白文方印「者葛監印」朱文方印「思文氏」を捺す。