修験道の開祖である役行者(えんのぎょうじゃ)は、白鳳時代の七世紀後半を中心に、奈良県の葛城山や金峯山などで活躍、全国各地の霊山を開き修行したと伝えられている。
幼名を“小角(おづぬ)”と言い、生まれながらにして博学で悟りが早く、まさに神童であった。やがて不思議な験術を習得した行者は、空を飛行し、前鬼・後鬼という鬼神を従えるようになった。
その役行者が吉野金峯山上で、守護仏を求めて祈念すると、釈迦・観音・弥勒が次々と現われ、最後に金剛蔵王権現(こんごうざおうごんげん)が現れた。右足を高く上げ、焔髪を逆立てた忿怒相で、右手で三鈷杵を振りかざす、無双の利益をもたらす修験道の本尊である。