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池畔納涼

藤島武二1898

東京藝術大学大学美術館

東京藝術大学大学美術館
台東区, 日本

当世風の若い着物姿の女性を光あふれる明るい色彩で描いている。画題や画風には当時薫陶を受けた黒田清輝の影響がみられる。

 上野の不忍池の夕景であろうか、そのほとりで涼をとる2人の女性が描かれる。藤島武二は白馬会第2回展にこの作品の下絵を発表し、翌年の第3回展に完成作である本作を発表した。下絵の段階では2人の女性以外に男性や子守娘を配し、群像表現を用いた風俗画を試みた。しかし、当初から厳しく構図を批判されたためか、本作では人物を省略し、背景が画面を大きく占める構成にした。赤外線による調査で本作には木炭による丁寧な下素描が施され、人物の形態にほぼ途中変更がないことがわかっている。推敲を重ねた末の構図に厳密にとり組んだ姿勢がうかがい知れる。絵具は全体に薄塗りであるが、明部は鉛白を用いた厚塗り、暗部は鉛白を用いず薄塗りという伝統的な油画技法の原則が守られている。また草木の表現は筆先を生かした軽快な筆触で描かれ、涼を誘う風の動きを感じさせる。白馬会展の他、明治33年(1900)には《池畔》の題名でパリ万国博覧会に出品された。(執筆者:左近充直美 出典:『芸大美術館所蔵名品展』、東京藝術大学大学美術館、1999年)

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