本品はメタリックな質感、平画的な裁断という1920年代ドレスの典型的な要素を持つイヴニング・ドレス。テキスタイルには、蒔絵を思わせる連山のような柄がボーダー状に織り出されている。
アーサー・L・リバティ(1843-1917)が1875年に開店したリバティ商会(開店当初は「イースト・インディア・ハウス」)は、美術工芸品の他、日本や中国をはじめとする絹地を販売し、とりわけテキスタイルの評判が高かった。1884年には婦人服部門を設立。審美主義運動に基づいたアーティスティック・ガウンは、1889年のパリ万博において好評を博し、翌年1890年から1932年までパリ支店を設けた。
リバティ商会のテキスタイルは、パリの有名デザイナーたちにも採用された。20世紀初頭のファッションを牽引したポール・ポワレも、1903年のメゾン開店当初からリバティ商会のテキスタイルを使用した。本品と同じテキスタイルが、1924年のポワレの作品「Paravent(屏風)」に使われている。