白羅紗地葵紋付唐獅子牡丹文火事羽織

徳川宗春(尾張家7代)着用

羽織・頭巾ともに舶来の羅紗の生地を文様どおりに切りぬき、図様をはめ込む「切り付け」の手法を用い、鮮やかな色彩で華麗に彩っている。羽織は、背割り部分で向き合うように大きく二匹の獅子を配し、背中央に藤縁の葵紋を配している。兜は、葉形の模様を頂に貼り付け、側面には赤の水垂れ模様を交え、緑の鉢巻き状の紐と、背後に紅白の紐を付ける。吹返や眉庇も造形的で、??は三色とし、三段目の??には左面に鳳凰、右面に桐の葉を配する。派手好みとされる宗春らしい奇抜で色彩豊かな火事装束である。