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フローラ

デュボワ、アンブロワーズ1543/1599

公益財団法人 東京富士美術館

公益財団法人 東京富士美術館
東京都, 日本

フランドル出身のフランスの画家アンブロワーズ・デュボワは、第二次フォンテーヌブロー派を代表する作家で、マニエリスムの特徴を示し、優雅な形態とフランドル風の明暗表現を見せている。
フォンテーヌブロー派は、16世紀にフランスのフォンテーヌブロー宮殿を舞台に活動した芸術家のグループを指すが、国王フランソワ1世に招かれたイタリアの芸術家が中心となって形成されたのが第一次フォンテーヌブロー派で、宗教戦争による停滞期を経て、国王アンリ4世の時代にフォンテーヌブローの造営工房で活動を再開した芸術家たちは、第二次フォンテーヌブロー派と呼ばれる。同派の芸術は、フランスにおける最初のルネサンス様式の開花であった。
1642年に作成された目録によると、この絵は「フォンテーヌブローの王の部屋のマントルピースの上に掛けられていた」という記録が残っている。後年ルイ14世の時代になって他の絵と取り替えられたが、フランス革命後の1793年の美術品セールで世に出て、1834年にはルーヴル美術館に購入の紹介がなされたこともあった。その時、本作の裏側には〈王の小部屋を飾っていた作品〉との記述があったことが確認されている。
フローラは古代イタリアの花の女神で、人々はギリシア神話の花神クロリスが生まれ変わってフローラになったと考えた。この主題は、ボッティチェルリやプッサンなどの画家に愛されたが、神話画から単独の女神像だけが独立して画題となり、後に〈フローラに扮した女性〉の肖像画という形で、手に花を持った若い女性像としても描かれた。娼婦をモデルとして描いたティツィアーノや、妻のサスキアを描いたレンブラントの作例はその代表的なものである。この作品では4人のプットーを従え、左手に花瓶を携えた半裸の女神として表現されている。やや形式的で絵画的な深みに欠けるものの、ほのかなルネサンスの香りと洗練されたフランス絵画の艶やかな様式美に彩られた作品である。

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