源氏物語を題材に描いた絵を「源氏絵(げんじえ)」といい、11世紀の初頭、原典成立後まもなく絵画化が始まったとされる。以後、中世、近世を通じて、様々な画派によって描かれ、日本絵画の普遍的・古典的テ−マとなった。この屏風は江戸時代前期に活躍した岩佐又兵衛の作風に近く、又兵衛周辺の画家の手になるものと思われる。この屏風では画面を金雲や塀で区分し、そこに源氏物語五十四帖から選ばれた、「桐壺」「明石」など計12場面を配している。画面中央の上部には、「玉鬘」の場面が描かれ、新春に贈る衣装を選ぶ光源氏と紫の上の姿が見える。