桃園の誓いで劉備・関羽と義兄弟の契りを結んだ、中国 三国時代の豪傑 張飛翼徳は、一人で一万の兵に匹敵するといわれる程の勇猛さで、多くの武将から恐れられていた。
後漢末期、劉備軍は敵対する騎兵五千の曹操軍から追撃され、とうとう当陽県の長坂で追いつかれてしまう。曹操軍を阻止する為、張飛はわずか二十騎を率いて長坂橋へ向かった。この橋を越えなければ劉備軍の所へ攻め入れないのである。張飛は一人その橋上へ立ち塞がった。
そして、眼前に迫った曹操方の大軍に対し「我こそは張飛なり!勝負したい者は前へ出ろ!」
と目をいからせ蛇矛を振り上げ、地鳴のような声で大喝した。さすがの曹操軍も、この鬼のような迫力には怖れをなし、すごすごと退却するしかなかった。
すぐさま張飛は部下に橋を破壊させ、見事に自軍を危機から救ったのであった。
外敵から国を守るため、一人強大な勢力に立ち向かった張飛の勇姿に、困難が絶えない世の災いを払い、平和が続く事を祈り願うものである。