フランスのル・アーヴルに生まれたデュフィ(1877-1953)は、市立美術学校で学んだ後、パリに出て国立美術学校に入学する。1905年のアンデパンダン展で見たマティスの作品に衝撃を受け、フォービスムに傾倒した。1908年頃からは、セザンヌ的な探求に向かい構成的な画面の作品を制作する。またファッションデザイナーのポール・ポワレとの装飾の仕事は、彼の油彩作品にも変化を与えた。
本作品は、ノルマンディー地方のリゾート地ドーヴィルが舞台。同じノルマンディー地方の港町ル・アーヴルに生まれたデュフィの作品には、海を描いたものが多い。黒と白の線描により波の動きが巧みに表現され、水面にぎっしり配置されたヨットやボート、水兵、着飾って見物する人々から、祭りのにぎやかな雰囲気が伝わってくる。
デュフィは、ビアンキーニ=フェリェ社と契約を結び、テキスタイルのデザインをしているが、この作品と同じモチーフを使ったテキスタイルとドレスが、残されている。