伝統的な日本の絵画に西洋的な陰影法や遠近法を導入した「近世初期洋風画」と呼ばれる絵画は、桃山時代にイエズス会がキリスト教の普及を目的として制作させたことに始まります。本図は、一見、西洋の風俗画のようでありながら、背後にはキリスト教的主題が隠されています。同時に、日本の伝統的な四季図屏風の形式を踏襲してもいます。向かって右隻には、楽器を演奏する婦人たちや水辺で憩う人物や釣り人を表わした、春から夏にかけての場面が描かれています。左隻では、聖母子を想わせる母と子の姿や収穫する人々、雪山を背に巡礼する人々を描いた、秋から冬の場面へと展開します。右隻には、享楽的に生きる人々を、左隻には、キリストの教えに則った敬虔な生き方をする人々を対比的に描いて、キリスト教の教えを説いた近世初期洋風画の代表的作例です。